Web広告の知識を身につけるために公式認定資格を取ることの有用性について

こんにちは。 フォーカセル開発チームのテックリードとして働いている島田 (@curryisdrink) です。

エンジニアが新しいチームに入る時、とりわけ入社・異動があった際、それまで自分が関わったことのない業界向けのプロダクトに携わることになるといったことが起こり得ます。
自分もこの会社に入った時、Web 広告に関しての知識が開発を進められるほど充分には無かったので、いくらか時間をかけてそれに関する勉強をする必要がありました。アプリケーションの実装に必要な Google Ads API の仕様はもちろん、それを通して運用することのできる Google 広告がどのようなサービスなのか、ひいてはそういったサービスたちによって形成される Web 広告市場がどのようになっているのか等々、入社してから学ぶべきことは多かったです。

我々が開発しているフォーカセルは先日リリースされたのですが、開発プロジェクトが始まってからリリースするまでの間上記のような勉強は避けて通れなかったため都度行ってきました。
内容としては上記 API の仕様を公式ドキュメントを読んで把握したり、社内で既にそれを用いた実装がされているレポジトリを参考にしたりといったことに加え、各広告媒体 (Google や Criteo のこと) が広告運用者向けに出している資格を取るといったこともしました。

振り返ってみると、意外にも直接アプリケーションを実装するのに必須でない知識を得るための、広告運用者向けに出している資格の取得が、ただ勉強をするのに限らず仕事をする上で役に立ったので、この記事ではそれについてお話します。

取得した資格

資格は以下の2つを取得しました。

内容はそれぞれのリンク先に詳細がありますが、どちらも広告運用者向けのもので、API の詳細な仕様といったような内容は含んでいません。
Web 広告の業界の概要から始まり、その中でのそれぞれの媒体の立ち位置、その有用性、媒体に出稿することでどのようなことが出来るのかといった順に勉強していくことになります。

(余談ですが、どちらも Intellum という顧客向けに学習プラットフォームを提供するサービスを利用して作られています)

どちらも媒体によって公式に発行される資格であり、かつ広告運用を行う上で必要な知識を学ぶための教材として一定の評価を得ているため、会社によっては新卒で広告運用業務を始める社員の研修でこれらの資格取得を推奨されていたりします。
弊社の広告運用担当者にも資格保持者が一定数おり、その品質や取得することの費用対効果の良さは事前に伺った上で勉強をしていました。

資格取得を通して得られたこと

まず上記の内容の通り、取得の際は Web 広告の業界の概要や各媒体の詳細を学んでいくことになるので、それらの知識が得られます。

エンジニアとして働いている限りだと、多くの場合は開発すべきものが何か決まった上で仕事が割り当てられるので、それに対して場当たり的に、例えば上記の API を使ってある値を変更する処理を作る等、目先の仕事を実行するための知識を集める、といったことがよく行われるかと思います。この学習自体は必要なので実施することに問題はありませんが、こうした学習を日々の仕事の中でしていくだけだと、業界全体の概要や、Google 広告が取り扱う主だった機能ですら知る機会がなく日々が過ぎていきます。
フォーカセルはまだリリースしたばかりで、今後もプロダクトにどのような機能を実装するのかというのは大きく変わる可能性があります。またチームも小さくエンジニアに対しても、より良い実装アイデアを出すといったことが期待されているので、目下の業務にのみ必要な知識だけを都度身につけ、Web 広告業界の概観を知らないままでいるというのは現状好ましくありません。
ですので、これらの資格取得を通して業界全体のことや、すぐさま機能実装の対象にするわけではない各媒体のメイン機能を把握できたのは大きな収穫でした。

また副次的に、とりわけエンジニア以外のメンバーからの評価を得ることができました。

エンジニアたちとそれ以外の職種のメンバーでは専門とする範囲が大きく異ることが多く、我々のチームでもそれは例外ではありません。それが原因で、それぞれがしている仕事がどれだけインパクトがあるのかといったことが把握しづらいといった状況になることがよくあります。今回エンジニアである自分が (それなりに学習負荷が高い) 広告運用担当者向けの資格を取ったことにより、同じ資格を持っている方々に、具体的にある程度の知識を得たことを示すことが出来ました。
上記で述べた通り我々のプロダクトはまだリリースしたばかりで、同じチームのメンバーのみならず他の部署の力を借りることも多いです。それをする上でこういった資格をエンジニアも取っているという事実はポジティブな影響を及ぼしていると実感があるので、これが得られたのは思わぬ幸運でした。

今後の展望

今回の資格取得は個人的な勉強として業務の合間に行い、各資格を取るためにそれぞれ20時間以上かかりました。
毎日一定のペースで勉強したり、理想を言えば日中の業務時間をフルに使って一気に資格を取れればよかったのですがそれは出来なかったため、学習効率は向上の余地があったと言えると考えています。

ですので今後新しくエンジニアのメンバーが増えた際は、本人の希望次第で、研修の一環としてこれらの資格取得にフルコミット出来るようにするのもいいかなと考えています。

以上、この記事が参考になりましたら幸いです。