バックエンドエンジニアがプロダクトマネージャーに転身して3ヶ月の振り返り

はじめまして、CTO室兼ライクル事業部でバックエンドエンジニアをしている丸山です。

プロダクトの沼(歴史的事情でやや困った実装になっているところ)に興味本位で片足を突っ込んで綺麗にハマるのには定評があります。

さて、いま私が主に関わっているライクルというプロダクトにおいて、最近プロダクトマネージャー(男性)が育休でしばらくお休みを取ることになりました。以前弊社のテックリードが育休をとった記事にもあるように、会社として父親も育児に参加できるような仕組みが整ってきたのは大変喜ばしいことだと思います。とはいえ、プロダクトとしてはその間停滞するわけにもいきません。

ということで、しばらくの間代理としてプロダクトマネジメント職を拝命することになりまして、エンジニアからプロダクトマネージャーに転身したこの3ヶ月で苦慮していることを簡単ながら振り返ってみたいと思います。

プロダクトマネージャーとは

プロダクトマネージャー(PdM)は、製品開発チームの一員であり、顧客のニーズを把握し、製品の戦略的な方向性を決定する役割を担っています。

企業によってその責務には幅があるものの、一般的には製品の開発からリリース、マーケティングまで、製品の全体的な戦略を策定することが求められます。またPdMは、プロダクトの成功に向けた市場や競合環境の変化リスク管理を行い、チームの意思決定プロセスをリードすることも重要な役割と考えます。

プロダクトマネジメントを担うようになって苦慮していること

プロダクトの目的やビジョンを言語化することへの思考の転換

プロダクトマネジメントにおいては、まずは顧客の潜在的なニーズを汲み取った上で、「何を作るのか」「なぜ作るのか」を言語化すること、またそれを問う姿勢こそが最も重要だと考えています。

一方で、長年エンジニアとして開発に携わってきた結果、上記に続く「どのように作ればよいか」に考え方が最適化していることを痛感しました。

しかし、思考の転換の必要性は理解できたものの一朝一夕には身につくものでもないため、以下の対策を地道に継続している最中です。

<対策>

  • プロダクトを触る時間とライクルの顧客を知る時間を増やす
    • 顧客はどんな考えで普段ライクルを利用しているのか、実際に使ってみてそれはお客の悩みを解消しているのか、ライクルを使うことで新た悩みを増やしてはいないか、という点を意識するようにする
    • 必要に応じてカスタマーサクセス担当の方と一緒に顧客とのMTGに実際に参加して顧客像をより具体的に持てるようにする
  • 実装方法についての議論など、意図的に自分が関与すべきでないところからは手を引き、開発チームを信頼してお願いする

策定したビジョンのプロダクトロードマップへの落とし込み

実現予定のある機能の一覧化以上に、顧客がライクルを使うことでこの先どういうメリットを享受できるのか、それはいつの時点でどの程度実現しているのかを説明できることが重要な一方、現実的にはプロダクトのあるべき姿だけを考えていられるわけではない点に難しさを感じます。この点については現時点で具体的な対策を講じることはできていません。

  • 自社を取り巻くビジネス環境に対する状況は日々刻々と変化し続けるため、優先順位は常に見直しが必要
    • 優先順位の見直しには多くの関係者の意見の集約が必要であり、必ずしもプロダクトマネージャーの一存だけで決められるものではない
    • ライクルはGoogleというプラットフォーマーに一定依存するプロダクトであるという特性上、ある日突然やってくる破壊的仕様変更に一定追随し続ける必要がある
    • 事業継続のために目先の売上を達成しうる機能開発を要求されることもある

エンジニアというバックグラウンドがあることで得していると思える点

プロダクトマネージャーには、プロジェクトをどのように進めれば成功するのか、詳細な計画を立て、それを遂行するというプロジェクトマネジメントの要素も必要とされます。

エンジニアをある程度経験すると自ずとプロジェクトマネジメント的な役割を経験する機会が多いため、それらに対する勘所は働きやすいと感じます。

  • 要望がそもそも技術的に実現できるかの勘所がわかる
  • 作るものの規模感から、開発期間と必要予算をある程度掴める
  • その気になれば自分で手を動かして技術検証ができる

さいごに

簡単ではありますが、以上が3ヶ月ほどプロダクトマネジメントを担うようになっての振り返りです。

まだほんの一旦にしか触れていないという自覚はあるものの、実際に経験してみると非常に幅広い知識とスキルを要求されることを身を以て体感し、エンジニアリングとはまた異なる難しさと自身の力不足を日々痛感しています。

一方、プロジェクトマネジメントを経験しておくことで、エンジニアリング以外の視点からプロダクトの成長を考える視点を持つことができるのは貴重な経験だと思いますので、機会に恵まれることがあればぜひ一度はチャレンジしてみることをオススメしたいと思います。